茨城県図書館協会における電子的コンテンツ形成支援事業
(愛称:ilaコンテンツ)

茨城大学は本学が有する人的・物的資源を有効に活用し、
地域社会の発展に寄与するために、地域貢献特別事業を行っています。
本学図書館では茨城県図書館協会(ila:Ibaraki Library Association)と協力し、
画像データベース作成等の事業を展開しています。

概要 報告・成果 参加館  
 

  1. 取り組みの背景と地域のニーズ

     近年、インターネット等の高度通信技術の普及に伴い、図書館においても電子メディアを活用した利用者サービスの向上と情報発信等が必要となってきている。このような状況の中、図書館業務のIT化に向けた取組に関して県内では先進的な地位にある茨城大学図書館が、茨城県図書館協会会員館を対象に技術的支援を行うことは、県域の図書館サービス全体の品質向上を図り、生涯学習時代における人々の多様な学習ニーズに応えていくための基盤を整備することとなり、地域の力を活性化するための根幹的な地域貢献となる。
     茨城県図書館協会会員館においては、(1) 所蔵する貴重な郷土史料等を県民の郷土愛に基づく郷土史学習意欲に供したくとも文化財保存保護の必要と矛盾するので公開は難しく、(2) 社会の国際化に対応して洋書等が増加しているが所蔵目録を作成することは基礎的な語学力や目録作成技術の面から難しく、(3) 社会の高度情報化に対応した広報普及活動を展開したくとも情報発信技術を活用することが難しく、(4) めまぐるしく変わる状況に合わせたIT環境整備を検討実施することも難しい状況があった。
     また、茨城県が計画した「茨城県図書館情報ネットワーク」(平成16年度に稼動。県内各図書館の蔵書検索システムを横断的に検索するシステム)を充実させるためにも、県内の公共図書館においては、所蔵目録を始めとする情報資源の整備充実が急務の課題であった。

  2. 課題の趣旨、目的

     上記のニーズに対応して、(1) 所蔵資料の電子化(貴重な郷土史料等の電子的コンテンツ作成)、(2) 目録データの整備(公共図書館では整理困難な洋書等の所蔵目録作成)、(3) ホームページの整備(広報など情報発信の電子化対応)、(4) IT環境整備(インターネット接続)を茨城大学が支援することにより、これまで資料現物を用いて限定的にしか利用できなかった貴重な郷土史料等が電子化公開されて自由に閲覧できるようになり、県民は家庭に居ながらにして県内各図書館の所蔵資料を検索できるようになり、県内各図書館が発信する様々なサービスに接することができるようになる。
     このことにより、協会会員館による情報発信を活性化し、県域の図書館サービス全体の品質向上を図り、生涯学習時代における人々の多様な学習ニーズに応えていくことができるようになる。

  3. 参加者(大学と茨城県をはじめとする学外団体)

     茨城県図書館協会(茨城県内の公共図書館、公民館図書室、大学図書館、専門図書館107館が加盟)会員館を対象とした。

  4. 取り組みの内容

     本事業推進のため同協会に「ila (= Ibaraki Library Association) 実行委員会」を組織し、茨城県立図書館と茨城大学図書館が委員会事務局を担当した。ila実行委員会では、以下の活動計画を立案した。
    (1) 画像データ整備支援:貴重資料のデジタル化
    (2) 目録データ整備支援:郷土資料目録の公開
    (3) ホームページ整備支援:図書館からの情報発信
    (4) IT環境整備支援:インターネット接続(応募がなかったため実施せず)

  5. 成果概要

     画像データ、目録データ、ホームページの3項目について、作成支援を行った。平成16年度は需要等を含めて支援内容の見直しを行い、画像データのみの作成支援を行った。

    5.1 画像データ
     平成14年度は3館58点2,012コマ、平成15年度は3館14点2,056コマ、平成16年度は1館7点70コマの画像データを作成した。作成した画像データは、茨城大学図書館もしくは各所蔵館のホームページから公開される。

    5.2 目録データ
     平成14年度は8館3,140点、平成15年度は2館1,296点の目録データを作成した。作成した目録データは、各所蔵館の蔵書検索データベースに格納され、インターネットに公開されると共に、「茨城県図書館情報ネットワーク」(平成16年度に稼動。県内各図書館の蔵書検索システムを横断的に検索するシステム)からも検索可能となっている。

    5.3 ホームページ
     平成14年度は5館、平成15年度は4館について技術支援を行った。


  6. 成果一覧

    6.1 画像データ

    No.(年度) 所蔵館名 点数 コマ数 備考
    1 (H14) 十王町立図書館 11 821 黒前村誌、十王町ゆかりの江見水蔭著「地底探検記」など
    2 (H14) 牛久市立中央図書館 19 556 牛久市ゆかりの小川芋銭関係資料 掛け軸、葉書など
    3 (H14) 茨城大学附属図書館 28 635 徳川斉昭書簡、常陸国那賀郡内上河内村御検地帳(鶴田家文書)など
    4 (H15) 茨城県立図書館 7 63 徳川斉昭書簡集 1巻-7巻(第9代水戸藩主の自筆書簡)
    5 (H15) 下館市立図書館 2 45 俳諧 桃櫻 / 夜半亭宋阿(蕪村初期の下館市関連文献)
    6 (H15) 十王町立図書館 5 1,948 櫛形村誌、歐米人の日本觀、長久保赤水全/村田雨人(十王町関連史料)
    7 (H16) 茨城県立図書館 7 70 徳川光圀書翰集 1巻-7巻(貞亨3(1686)年〜元禄3(1690)年頃。水戸藩2代藩主光圀が、佐賀鍋島家の分家である小城の鍋島元武に宛てた自筆書簡53通及び右筆の代筆1通。)
      79 4,138  

    6.2 目録データ

    No.(年度) 所蔵館名 点数
    1 (H14) 下館市立図書館 117
    2 (H14) 取手市立図書館 400
    3 (H14) つくば市立中央図書館 250
    4 (H14) ひたちなか市立中央図書館 384
    5 (H14) 桂村立図書館 410
    6 (H14) 十王町立図書館 475
    7 (H14) 美浦村中央公民館図書室 504
    8 (H14) 茨城大学附属図書館 600
    9 (H15) 取手市立図書館 825
    10 (H15) 鹿嶋市立中央図書館 471
      4,436

    6.3 ホームページ

    No.(年度) 館名 備考
    1 (H14) 鹿嶋市立中央図書館 実用性を重視し、市外からの利用者をも意識した内容とした
    2 (H14) 明野町立図書館 既存の広報用の印刷資料と関連づけ明快なデザインと内容とした
    3 (H14) コミュニティーセンター常北 コミュニティセンターのサービス内容全体をカバーする
    4 (H14) 麻生町公民館 町のホームページと連続性があるデザインとする
    5 (H14) 美浦村中央公民館 公民館の業務について村民が必要とする情報を網羅する
    6 (H15) 鹿嶋市立中央図書館 技術相談
    7 (H15) 美浦村中央公民館図書室 技術相談
    8 (H15) 牛久市立中央図書館 技術相談
    9 (H15) 取手市立図書館 技術相談


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